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北海道観光振興機構:北海道観光のさらなる発展に向けて 持続可能な観光地域づくりを

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ポイント


1 北海道観光のブランド力強化のため「観光人材育成」と「DMO戦略支援」の研修事業を刷新
2 各地域のニーズや課題にフィットする「オーダーメード」の研修を実施
3 互いの地域観光の強みを見つけ合い、活発に意見を交換

 

お話を伺った人


北海道観光振興機構
専務理事 中村 智氏(左)

事業企画本部 地域観光部
次長 記虎 和彦氏(右)

 

 

広域連携DMOとして道内市町村の観光振興に貢献

――北海道観光振興機構は、道庁や市町村、観光協会、民間団体・企業など588会員とともに、官民一体となって北海道の観光産業・経済の発展を目指しています。具体的には、マーケティングに基づく商品開発、商品認知度向上や観光客誘致を目的とした国内・海外プロモーション、観光人材の育成とホスピタリティーの向上、観光基盤整備などの事業を展開し、観光庁登録の広域連携DMO(観光地域づくり法人)として、地域連携DMOや地域DMOと連携し、北海道全体の観光戦略の策定・観光課題の解決に向けたを推進しております。
タナベコンサルティングは今回、ポストコロナ時代にも北海道観光の展望を拓くための「観光人材育成」と「DMO戦略支援」の研修事業に協力しました。

 

中村:ようやくコロナ禍が終息し、いまは「HOKKAIDO LOVE!」をキャッチフレーズに北海道観光の新たな旅をPRし、アジアや欧米への海外プロモーションも再開しました。SNSやホームページを活用した情報発信では、LINEお友だち登録者数は28万人を超えています。

 

 

――北海道観光振興機構の機構改革も現在進行形です。

 

中村:観光地域づくりの司令塔となる地域DMOや地域連携DMOを応援する役割を、しっかりと果たすこと。北海道観光の中核的な機能をより力強く発揮できる組織体制になること。そうした課題認識を持って2022年、各界有識者10名による機構改革プロジェクトチームを立ち上げ、提言書をまとめました。
具体的には、「戦略的なプロモーション・魅力ある観光地づくり・マーケティング」の3つを柱に位置付ける観光振興、機動力と実行力を高めるガバナンス、グッズ商品開発やウェブ販売、資格認定制度による「稼ぐ機構」化、さらに将来ビジョンのグランドデザイン策定へと動き出しています。すでに道庁に対して観光関連予算の増額や観光目的税の導入を要望・提言し、知事にも積極的に観光PRに協力いただいています。

 

――全国に10法人ある広域連携DMOの中でも、北海道観光の魅力はアピール力が高く観光客の期待も大きいそうですね。

 

中村:四季に恵まれた日本でも、特に北海道は季節感を際立って感じることができます。新鮮でおいしい食材と山・海・川の豊かな自然、そして多彩なアクティビティー。春夏秋冬それぞれに楽しめるコンテンツが溢れています。
新たに「ワインツーリズム、ケアツーリズム、ナイトタイムエコノミー、アドベンチャートラベル(以降、AT」の4つを、全国に先駆けて取り組んでいます。「日本の北海道にはこんな魅力や楽しみ方がありますよ」と、国内外に向けてしっかりアピールし認知度を高めていくところです。

  北海道観光PRキャラクターのキュンちゃん。エゾナキウサギがエゾシカのかぶりものを付けている

 

 

 

サステナブルを可能にする、観光の人材育成と戦略

――北海道観光のブランド力を強化する取り組みとして、2022年度に「観光人材育成」と「DMO戦略支援」の、2つの研修事業を刷新しました。

 

中村:ポストコロナ時代を迎え、広域連携DMOの役割がより明確に、強く求められています。北海道観光振興機構も、周遊のためのエリア連携や魅力ある広域観光モデル、インバウンドの本格回復を図る観光再始動事業(観光庁)の推進、日本政府観光局(JNTO)との連携など、「観光立国」政策と道内のDMOがやりたいことをつなぐ窓口となる重要性も高まっています。
特に強く感じるのは、今後は「サステナブル」が観光や旅行の重要なファクターに、間違いなくなっていくことです。そこで「持続可能な観光地づくり」の実現に欠かせない、「観光人材育成」と「DMO戦略支援」の研修事業を見直して、初めてタナベコンサルティングにお願いしました。

 

――「観光人材育成」研修は道内全域で全20回、47市町村から各地域の旅行業や宿泊業、自治体職員などさまざまな人材が参加しました。また、「DMO戦略支援」研修は道内6地域で全13回、アドバイザー講師を派遣して実施しました。

 

中村:観光産業は裾野が広く、観光人材は広範囲にわたります。以前から「専門的な観光人材が足りない」「育たない」という声が各地域から届いていて、「観光人材育成」は観光関連団体・自治体向けと観光関連従事者向けの2種類を実施しました。
「DMO戦略支援」も、まずは戦略を策定する人材と実行する仕組みが不可欠です。観光をマネジメントする、コンテンツをクリエイトする、さまざまな場面で連絡先をコーディネートするなど、個別のスキルやノウハウがあって、さらに地域全体を俯(ふ)瞰(かん)しながら、旅行事業者やホテル、行政など異なる立場や機能を上手に生かし合い、みんなを巻き込んでいく。そんな観光地経営のリーダーを増やすことが狙いです。

 

――持続可能な観光地域づくりの司令塔となる地域DMOの「求める人材像」の育成を、広域連携DMOがサポートするということですね。

 

中村:今後は資格や経験、例えば、高い専門スキルとコミュニケーション力が必要なATガイドやインストラクターの育成研修も必要です。また、DMP(データマネジメントプラットフォーム)の構築も大事になります。世代や性別はもちろん、どこから来てどこへ行くのか、どのぐらい滞在するのか。データエビデンスに基づく観光客の行動履歴を把握・分析して、商品開発や情報発信のマーケティングに生かすことで、実効性ある観光戦略が描けます。小規模な自治体やDMOが単独では難しいことも、北海道観光振興機構が力になっていければ、と考えています。

 

 

 

地域ごとに異なる課題に合わせた、オーダーメードの研修を実施

――2つの研修事業は従来も実施していましたが、今回の新たな研修内容に対する評価を教えてください。


記虎:「観光人材育成」研修を2022年に初めてタナベコンサルティングへお願いし、従来と比べてで最も違いを感じたのは、これまでのような画一的な研修プログラムではなかったことです。事前のヒアリングに多くの時間を割いていただき、各地域のニーズや課題にフィットする「オーダーメード」の研修プログラムとしていただき、その結果、参加者から高い評価を得ることができました。
「DMO戦略支援」研修も同様に、事前のヒアリングをしっかりと行ってくれました。研修先ごとに多様な課題やニーズに深く傾聴し、さらにミッションやビジョンの具体化へと導くための、最適なアドバイザーを選定し派遣してくれました。広域周遊やインバウンド向け高付加価値ツアーの観光戦略、マーケティング、ブランドデザインや情報発信など、アドバイザーの皆さまは、その道の専門家で説得力もありました。北海道観光振興機構で内製化していた過去の研修と比べると、参加者にとってより「本当にやってほしい」「納得できる」「すぐに役立つ」研修に大きく近付いたと感じています。

 

――オーダーメードの研修プログラムで、印象に残ったことはありますか。

 

記虎:分かりやすい資料や講義はもちろん、ワークショップも多く取り入れることで、とても盛り上がる研修でした。講師役のコンサルタントやアドバイザーは、発言しやすい雰囲気づくりがとても上手で、ただ聞いて話して、というだけはでなく、飽きさせない工夫も随所に凝らされていました。
事前ヒアリングで「コロナ禍のため、近隣市町村で意見交換ができなかったのでやりたい」という要望があった研修先では、それに応えるワークショップをプログラムに組み込んでくれました。各市町村の参加者が、互いの地域観光の良いところを褒め合うのですが、自分の町の良いところは当たり前すぎて、意外とわからないのです。でも隣町の人から「その当たり前、実は魅力があって、観光の武器になるよ」と指摘してもらうことで、気づきが生まれます。褒め合うと意見交換も活発になりますし、地域ごとの多様な戦略策定につながる有益な研修になりました。
研修先との日程調整や事前準備は思った以上に大変でご苦労もあったと思いますが、骨の折れることも丁寧に、着実に遂行いただき、大変感謝しております。

 

 

観光地域づくりを「自分事」で考えることが、さらなる発展の原動力に

――刷新した研修事業は「北海道観光のこれから」につながっていきます。

 

中村:ワクワクして将来に明るい展望を感じるなど、ポジティブな印象が後々まで残る研修でしたし、それは次のアクションを起こす原動力になる、と実感しました。問題点やできない理由を指摘するだけで終わっていたのが、まず自分から何かできることがあるのでは、と自分事として考えられるように変わり始めています。
観光業界にとらわれない「外の目」のコンサルタントの視点に触れて、新しい気づきがたくさんあった、という参加者アンケートの回答が数多くありました。それはコンサルタント講師が上手に引き出してくれたおかげです。

 

記虎:「DMOはステークホルダーが多く、短期の目先と中長期それぞれの課題や取り組みがあります。観光人材を育てるには、定期的に集まる機会をつくることが大事ですよ」とアドバイスもいただきました。実際に、最初は少し他人行儀で距離感があった参加者のみなさんが、研修を通して心が触れ合い、顔が見える関係性で気さくに語り合える「仲間」になれたように感じます。
観光産業は離職率が高いので研修事業の継続性は大事ですし、コロナ禍で離職せざるを得なかった方々にも、再び仲間になってもらえるようにしていきたいですね。

 

――中村専務理事は2022年、小金澤会長とともに道内112ヶ所の市町村や観光協会を訪問しました。

 

中村:全行程は約3000㎞で北海道の広さを実感しましたし、エリアごとに多様な要望や課題があること、それぞれに隠れた魅力あるコンテンツがあることも再認識しました。
北海道にとって、観光はもの凄く重要な産業です。携わる業種や金額は他地域よりも多く、経済効果が非常に大きく、雇用効果もあって、しっかり稼ぐこともできる総合産業です。さらなる発展へ力強く推進していけるように、今後もタナベコンサルティングの豊富な知見でサポートいただきたいですね。

 

――観光を北海道のリーディング産業に導き地域を活性化させていく支援を、これからも続けてまいります。本日はありがとうございました。

 

 

PROFILE

    • (公社)北海道観光振興機構
    • URL:https://www.visit-hokkaido.jp/
    • 所在地 〒060-0003 札幌市中央区北3条西7丁目1-1 緑苑ビル1F

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